Clocking the Mind: Mental Chronometry and Individual Differences

Clocking the Mind: Mental Chronometry and Individual Differences

精神時間測定法(MC)は、脳の情報処理スピードを測定するさまざまなテクニックで構成されている。 <br> <br> MCがはじめて登場したのは1800年代半ばだが、のちにアルフレッド・ビネーがより複雑で実用的な知能検査法を開発したことで、その存在価値が薄れていた。だが、ビネーの知能検査法は、テストスコアと脳自体の個別の特性とを関連づける正確な測定基準を欠いている。スコアは単純に順序尺度で表され、各種の複雑な精神的作業の全体的な成績にもとづいて個々をランク付けすることしかできない。そのため、この検査で得られるスコアはランク以上のものではなく、脳機能の個別の特質を表す測定尺度とは言えない。任意に定義された集団のなかで個をランク付けするそうした順序尺度は、真の尺度特性に欠けるうえ、真のゼロや尺度全体における等間隔性も持たない。こうした欠点は、知能をめぐる真の自然科学の発展を妨げている。このところ、自然科学や生物学、とりわけ脳科学の観点から、知能の個人差を理解しようとする意識が急速に芽生えつつある。こうした潮流を受け、脳と行動とを機能的に関連づけられる直接的な手法の必要性が高まっている。そうした自然比率尺度の1例が、時間そのもの――すなわち、脳が基本的な認知的作業を実行するのにかかる時間を、ミリ秒単位で測定するという考え方だ。 <br> <br> 25年以上にわたってMCを研究してきたジェンセンは、絶対尺度を用いて検査結果を表す方法を本書で提示している。この尺度は、視覚および聴覚情報の認識や短期・長期記憶の呼び出しといった認知的作業にかかる時間を、3歳から80歳までの年齢間隔の関数として表すものだ。また、神経診断、認知に対する薬剤効果の監視、音楽演奏などの特別な時間依存性才能の測時分析といった分野でMCを活用する可能性を探り、時間測定で得られた神経作用ポテンシャルの振幅率の関数として一般的知能(<IT>g</IT>)を表す理論を紹介する。ジェンセンは最後に、生体心理学に欠かせない1分野としてMCを発展させるためには、時間測定法を世界規模で標準化することが必要だと訴えている。 <br> <br> *精神時間測定法(MC)のデータを表すにあたって、これまでとは異なる尺度を提示<br> *従来の順序尺度に対立するものとして、絶対的尺度を世界規模で導入することを提唱<br> *MC研究者や心理学者、神経科学者にとって大きな意味を持つ1冊 <br>